LINE公式アカウントのタグ配信・セグメント配信の違いと効果的な使い方

目次

メッセージが「届く」から「響く」LINE運用へ

LINE公式アカウントを活用していますか?
「メッセージがユーザーに響かない」 「ブロック数が増えてしまう」 こんな悩みを抱えていませんか?
実はその解決策が「セグメント配信」にあります。
本記事では、LINE公式アカウントのセグメント配信を解説します。
基本から効果的な使い方までご紹介します。

セグメント配信とは?基本的な理解

「セグメント」の定義

「セグメント」とは、マーケティング用語です。
分けられたもの」や「分割したものの一部」という意味です。
具体的には、顧客を「性別・年齢・居住地」といった属性で分けます。
また、「買い物の行動」などでも分類します。
似た傾向を持つグループが「セグメント」です。

LINE公式アカウントでのセグメント配信

LINE公式アカウントに、直接の「セグメント配信」機能はありません。
しかし、「メッセージの絞り込み機能」があります。
これを使えば、実質的にセグメント配信が可能です。
本記事では、「絞り込み機能を使った配信」を「セグメント配信」と呼びます。

なぜ重要?セグメント配信の3つのメリット

セグメント配信はLINE運用において極めて重要です。
主に3つの大きなメリットがあります。

① ブロックされるリスクを大幅に減らせる

全ての友だちに同じメッセージを一斉配信するとどうなるでしょうか?
「自分には不要な情報だな」と感じるユーザーが出てきます。
これが続くと、最悪の場合ブロックにつながり、一度ブロックされると、メッセージは届けられません。
そのリスクを防ぐために有効なのが、セグメント配信です。
ユーザーが一番関心のありそうなメッセージ」を届けられます。
「不要・関係ない」と思われる可能性を低くすることができます。

② 無料メッセージ数を節約できる

LINE公式アカウントでは、プランごとに無料送信メッセージ数が決まっています。
この数を超えると追加料金が発生します。
本当に届けたい人に効率よく情報を届けられるため、セグメント配信は無駄な配信を減らせます。
その結果、ユーザーの満足度を高めるだけでなく、配信コストを抑えることにもつながります。

3. メッセージの反応率アップを期待できる

ユーザーのニーズや属性に合わせてメッセージを工夫しましょう。
これにより、メッセージの開封率やクリック率の向上が期待できます。
例えば、東京在住者には東京のイベント情報を、大阪在住者には大阪のイベント情報を送るイメージです。

LINE公式アカウントの「絞り込み機能」の種類と活用法

LINE公式アカウントには、大きく2つの絞り込み機能があります。
これらは併用も可能で、より詳細なセグメント配信ができます。

① 属性(フィルター)での絞り込み

「属性」とは、LINEがユーザーの行動から自動的に推定・分類したデータです。
スタンプ利用状況や友だち追加しているアカウントなどに基づきます。

利用できる属性は以下の5つです。

友だち期間

友だちになってからの日数で分類されます。
例:「365日以上」の長期友だちに限定クーポンを配信できます。

性別

「男性」「女性」に絞り込み可能です。
女性限定イベント等の告知などに活用できます。

年齢

14歳以下から70歳以上まで幅広く絞り込めます。
ターゲット年齢層に合わせてメッセージを変えられます。

OS

ユーザーの使用OS(Android, iOSなど)で絞り込みます。
特定OS専用のサービス案内などに使えます。

エリア

47都道府県別や地方別で絞り込めます。
多店舗展開している企業が地域限定キャンペーンを行う際に便利です。

属性利用の注意点

この属性はLINEの推計データです。必ずしも正確ではありません。また、反映には約3日かかります。
直近で友だち追加したユーザーには適用されません。

2. オーディエンスでの絞り込み

「オーディエンス」は、ユーザーの行動をもとに作成されます。
LINE公式アカウント上での利用状況や、運用者が設定した条件などに基づいて構築される仕組みです。

オーディエンスは以下の方法で作成可能です。

ユーザーIDアップロード

個別のユーザーIDをTXTやCSVでアップロードします。
ユーザーIDの取得にはMessaging APIが必要です。

クリックリターゲティング

過去にリンクをクリックしたユーザーが対象。
配信から60日以内のメッセージが対象となります。
オーディエンスサイズは50以上必要です。

インプレッションリターゲティング

メッセージを開封したユーザーが対象。
これも配信から60日以内が対象です。
オーディエンスサイズは50以上必要です。

チャットタグオーディエンス

チャットに「チャットタグ」を付与します。
これを対象にできます。
これは後述する「タグ配信」と関連します。

友だち追加経路オーディエンス

特定の経路で追加したユーザーが対象。
QRコードやWebサイトなどを使います。
オーディエンスサイズは50以上必要です。

ウェブトラフィックオーディエンス

「LINE Tag」のトラッキング情報に基づきます。
サイト訪問者や特定ページ閲覧者などに絞り込みできます。
オーディエンスサイズは50以上必要です。

リッチメニュークリック/インプレッション

リッチメニューを操作したユーザーが対象。
配信にはオーディエンスサイズ50以上が必要です。

予約

「LINEで予約」機能を利用して予約したユーザーが対象です。
LINE公式アカウントと連携済みの予約データが必要です。

その他

ビジネスマネージャーを活用します。
LINEヤフーのプロダクトデータや企業データを利用できます。
オーディエンスの共有や作成が可能です。

「タグ配信」の深掘り:パーソナルな顧客管理と活用

ここで「タグ配信」について掘り下げていきましょう。
これはセグメント配信の一種で、チャット機能と深く関わります。

タグ付けとは?

LINE公式アカウントには「タグ付け」機能があります。
チャットができる友だちへタグを付けます。
運用者が自由に顧客管理を行う機能です。

例えば、こんなタグが活用できます。

  1. 顧客種別:「新規顧客」「リピーター」「VIP」
  2. 誕生日月:「誕生月:1月」「誕生月:5月」
  3. 来店月:「来店:1月」「来店:2月」
  4. 来店予約:「予約あり」

セグメント配信におけるチャットタグの役割と活用例

この「チャットタグ」はチャットタグオーディエンス」として使えます。
メッセージの絞り込み配信に利用可能です。
さらに、ステップ配信(自動配信機能)の条件分岐にも活用可能です。

チャットタグの具体的な活用例

  • 誕生日クーポンを自動配信
    誕生日月をタグで管理。 その月にスペシャルクーポンを配信します。
  • リピーター向け特別セール
    「リピーター」タグが付いた顧客にだけ、特別割引セールを案内できます。
  • 再来店を促すメッセージ
    来店月をタグで管理。 再来店を促すメッセージを送ります。 クーポンも送付できます。
  • イベント参加者へのフォローアップ
    「イベント参加」タグを利用します。 感想アンケートや次回イベントの先行案内を送れます。

LINE公式アカウントでのセグメント配信手順

実際にセグメント配信を行う手順を見ていきましょう。

STEP
メッセージ作成画面へアクセス

LINE公式アカウントの管理画面(PC版)にログインします。
左メニューの「メッセージ配信」から「メッセージを作成」をクリックします。

STEP
配信先を「絞り込み」に設定

メッセージ作成画面で、「配信先」項目にある「絞り込み」にチェックを入れます。

STEP
オーディエンスまたは属性を設定


「オーディエンス」または「属性で絞り込み」の項目で、設定アイコンをクリックします。
配信したい対象となるオーディエンスや属性を選択します。

オーディエンスを設定する場合

「オーディエンス」を選択し、事前に作成したオーディエンスから「含める」「除外する」を選びます。

属性を設定する場合

「属性で絞り込み」から、友だち期間、性別、年齢、OS、エリアを選びます。

オーディエンスと属性の両方を組み合わせることも可能です。
例:「友だち期間が7日間」の「特定の経路で友だち追加したユーザー」にのみ配信できます。

これらの設定が終わったら、通常通りメッセージを作成し、配信すれば完了です。

セグメント配信の注意点:効果を最大化するために

セグメント配信は便利ですが、いくつか注意点があります。

① ターゲットリーチ数が100名未満では利用できない

「属性」や「オーディエンス」を活用するにはいくつかの条件があります。

  • ターゲットリーチ数(推定できるユーザー数)が100名以上であること。
  • 絞り込み後の配信対象が100名未満の場合は配信不可。
  • オーディエンスのサイズが50名未満の場合も配信不可。

つまり、ある程度の友だち数を獲得していなければ、セグメント配信は使えない仕組みになっています。

② 属性情報はあくまで推計データである

先述の通り、「属性」はLINEが独自に推計したデータです。
必ずしも正確ではないことを理解しておく必要があります。
また、属性情報が反映されるまでに約3日間のタイムラグがあります。
直近で友だち追加したユーザーには適用されません。

③ リサーチ結果や会員データを直接活用できない

標準機能で使えるのは「属性」と「オーディエンス」のみ。
リサーチ結果や会員データを直接活用できません。

  • アンケートの回答結果に基づいた配信
  • 会員データ(会員/非会員など)を活用した配信
  • CRMなどの外部ツールに収集された項目でのセグメント分け

④ チャットタグの利用に関する制限(2025年3月4日以降)

チャットタグは便利な機能ですが、2025年3月4日以降に制限が変更されます。
特に無料版を利用している方は注意が必要です。

  • 無料版
    • 作成できるタグは合計5個まで
    • 1人のユーザーに付与できるタグは1個まで
  • チャットProオプション(月額3,000円)
    • 作成できるタグは合計300個まで
    • 1人のユーザーに付与できるタグは30個まで

また、タグ付けには以下の制約もあります。

  • タグ付けは基本的に手動で行う必要がある
  • チャットをしたことがある友だちにしかタグ付けできない
  • 一斉送信(絞り込み配信)で一度に選択できるタグは最大10個まで

外部ツールでLINE運用をさらに強化!

LINE公式アカウントの機能だけでは、上記のような制限があります。
「もっと自由に」「詳細に」セグメント分けをしたい場合は外部ツールの導入がおすすめです。

例えば、「Liny」「Mico Engage AI」のようなツールを使えば、以下の機能が利用可能です。

  • アンケートの回答内容に基づいた、より詳細なセグメント配信。
  • 「会員」「非会員」といった顧客データを活用した配信。
  • 「市区町村」レベルなど、細かな地域での絞り込み
  • 柔軟なタグ設定と、特定の条件を満たした場合のタグ自動付与
  • 人数制限なく1人単位でのメッセージ配信
  • 友だち追加した日に関係なく任意のタイミングからセグメントに活用

外部ツールを導入し、運用効果を高められます。
それにより質の高いコミュニケーションを実現できます。

まとめ:セグメント配信で成功するLINE運用を

LINE公式アカウントのセグメント配信は、非常に重要な戦略です。
ユーザーに「不要な情報」を届けず「本当に必要な情報」を届けます。
これにより

  • ブロックされるリスクを減らす
  • 無料メッセージ数を節約する
  • メッセージの反応率を高める

ことができます。

属性やオーディエンスといった標準機能、 そしてLinyやMico Engage AIなどの外部ツールも活用し、 効果的なLINE運用を目指しましょう!

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総合評価
( 5 )
メリット
  • 操作が圧倒的にわかりやすい
  • リッチメニューの出し分けや反応分析がしやすい
  • 外部ツール連携がしやすい
  • 運用コストが比較的抑えやすい
デメリット
  • サービス内での決済連携はやや弱い

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